【構造】15-1.鉄骨構造(耐震計算)
鉄骨構造は鉄骨材を使った構造についての項目です。
例年は4問程度の出題となっています。
7つの項目に分けてみていきましょう。
・耐震計算
・材料
・柱
・梁
・筋かい
・接合部(ボルト、溶接)
・座屈
今回の記事では耐震計算についてみていきます。
鉄骨の構造計算では4つの計算のルート(基準)が定められています。
しっかりとそれぞれの対象と基準について覚えましょう。
ルート1-1
対象
・階数3以下、高さ13.00m以下、軒高9.00m以下、スパン6.00m以下、500㎡以内の建築物
基準
・標準せん断力係数 Co=0.3
・筋かい軸部・接合部を保有耐力接合とする。
ルート1-2
対象
・階数3以下、高さ13.00m以下、軒高9.00m以下、スパン12.00m以下、かつ平屋の場合3000㎡以内。2階建ての場合500㎡以内の建築物
基準
・地震時の水平震度係数 Co=0.3
・偏心率 Re≦0.15
・柱、梁の保有耐力接合。
・筋かい軸部・接合部を保有耐力接合とする。
・柱、梁が局部座屈しない。
・幅厚比の制限。
・梁の保有耐力横補剛の確保。
・柱脚部と基礎の接合部の十分な強度又は靭性の確保。
冷間角形鋼管柱を利用する場合
冷間角形鋼管柱を用いる場合は,地震力により柱に生じる外力の大きさを、以下の割増係数値以上を乗じて許容応力度の検討をします。
①柱梁接合部が内ダイアフラム形式の時の割増係数
・STKR材:1.3以上
・BCR材:1.2以上
・BCP材:1.1以上
② ①以外の柱梁接合部の時の割増係数
・STKR材:1.4以上
・BCR材:1.3以上
・BCP材:1.2以上
実際の過去問(クリックすると開きます)
ルート2
対象
・高さ31m以下、塔状比4以下
基準
・層間変形角 1/200以下
・偏心率 Re≦0.15以下
・剛性率 0.6以下
・筋かい応力の割り増しによる許容応力度設計。(詳細あり)
・筋かい軸部・接合部の保有耐力接合とする。
・柱・梁の幅厚比の制限。
・柱・梁仕口部の保有耐力接合。
・柱継手・梁継手の保有耐力接合。
・梁の保有耐力横補剛の確保。
・柱梁耐力比の確保。
・柱脚部と基礎の接合部の十分な強度又は靭性の確保。
筋かいの水平力分担率βによる応力割増し
・β≧5/7の場合 : 「地震時応力×1.5」
・β<5/7の場合 : 「地震時応力×(1−0.7β)」
冷間角形鋼管柱を利用する場合
①最上階の柱頭部及び1階の柱脚部を除くすべての接合部については、柱の曲げモーメントの和が、梁の曲げモーメントの和の1.5倍以上となるようにする必要があります。
②1階のSTKR材の場合は
・水平力を負担する筋かいのある階の地震時応答の割増。
・地震力により柱脚部に生じる外力の大きさに割増係数値以上を乗じて許容応力度の検討をします。
Ⅰ.柱梁接合部が内ダイアフラム形式の時の割増係数 : 1.3以上
Ⅱ.Ⅰ以外の柱梁接合部の時の割増係数 : 1.4以上
実際の過去問(クリックすると開きます)
ルート3
対象
・規模の制限なし
基準
・保有水平耐力(Qu)が必要保有水平耐力(Qun)以上であることの確認
Qu≧Qun
Qun=Ds×Fes×Qud
Qun:各階の必要保有水平耐力
Ds :各階の構造特性係数
Fes :各階の形状特性を表す指標
Qud:地震力により各階に生じる水平力
・Ds:構造特性係数
構造特性係数を計算するには4つの行程があります。
①筋かいの種別を有効細長比λからBA、BB、BCのいずれかに定めます。BAなどは部材の靭性の大きさにより分類されています。
筋かいの種別の特徴は
・大小関係:BA>BB>BC
・有効細長比λ=lk/i ik:座屈長さ i:断面二次半径
・有効細長比λの上限値は鋼材の基準強度Fが小さいほど大きくなります。
②柱及び梁の種別を幅厚比又は経厚比から部材毎にFA〜FDのいずれかに定めます。FAなどは部材の靭性の大きさにより分類されています。
柱及び梁の種別の特徴は
・大小関係:FA>FB>FC>FD
・幅厚比又は経厚比の上限値は鋼材の基準強度Fが小さいほど大きくなります。
③ ①②で求めた種別をもとに、柱梁及び筋かいの部材群としての種別を、部材の耐力からA〜Dのいずれかに定めます・
④ ③の部材群の種別から構造特性係数Dsを定めます。
求める際には基準を示した表から導きますが、試験には出ないので割愛します。構造特性係数Dsは0.25〜0.50の範囲で定まることは覚えましょう。
冷間角形鋼管柱を利用する場合
①STKR材
・最上階の柱頭部及び1階の柱脚部を除くすべての接合部については、柱の曲げモーメントの和が、梁の曲げモーメントの和の1.5倍以上となるようにする必要があります。
・地震力により柱脚部に生じる外力の大きさに割増係数値以上を乗じて許容応力度の検討をします。
Ⅰ.柱梁接合部が内ダイアフラム形式の時の割増係数 : 1.3以上
Ⅱ.Ⅰ以外の柱梁接合部の時の割増係数 : 1.4以上
・局部崩壊メカニズムとなった場合は、当該柱の耐力を柱梁の接合部形式及び鋼管の種類に応じた係数により低減した塑性ヒンジの耐力を保有水平耐力とした上で、必要保有水平耐力以上となることを確認します。
【構造】12.地震力
地震力はその名の通り、建物に作用する地震力についての項目です。
例年だと1〜2問程度の出題となっています。
目次
1.地上部分
2.地下部分
1.地上部分
地震層せん断力とは「地震(によって、各)層(に働く)せん断力」のことです。
地上部の地震層せん断力は下記の式で求められます。
Qi=Ci×Wi
Qi:i層に作用する地震層せん断力
Ci:i層の地震層せん断力係数
Wi:i層から上部の建物総重量(固定荷重と地震用積載荷重の和)
地震「層」せん断力なので必ずどの層(何階)に働くかが重要になります。
さらにCiの求め方を見ていきます。
Ci=Z×Rt×Ai×Co
Z:地震地域特性係数(0.7〜1:国土交通大臣が定める地域の地震の特性を表す指標)
Rt:振動特性係数(地盤の種類と建物の固有周期で表す建物の振動特性の係数)
Ai:地震層せん断力分布係数(高さ方向の分布を示す係数、高いほど大きい)
C0:標準せん断力係数(設計時の条件によって定まった数をとる)
上記の4つの内、Rt、C0以外は()内の簡単なポイントを押さえれば大丈夫
Rtについて
Rtは地盤の種類と建物の固有周期Tで決まり、Tが長いほどRtは小さくなる
地盤の種類は3種類
建物の固有周期Tは高さhによって表されます。
鉄筋コンクリート造:T=0.02h
鉄骨造:T=0.03h
C0は3つのみ覚えれば良い
・一次設計用 C0≧0.2
・一次設計用(地盤が著しく軟弱な区域内における木造建築物) C0≧0.3
・保有水平耐力用 C0≧1.0
実際の過去問(クリックすると開きます)
- 建築物の固有周期が長い場合や地震地域係数Zが小さい場合には、地震層せん断力係数Ciは、標準せん断力係数C0より小さくなる場合がある。【○】H26,21
- 沖積層の深さが35mの軟弱な第三種地盤の地盤周期Tcは0.2秒以下である。【☓】H21
- 建築物の地上部分における角層の地震層せん断力係数Ciは、最下層における値が最も大きくなる。【☓】H27
- 建築物の設計用一次固有周期Tが長い場合、第一種地盤より第三種地盤のほうが建築物の地上部分に作用する地震力は大きくなる。【○】H27,24
- 第一種地盤で、建築物の設計用一時固有周期Tga長い場合、振動特性係数Rtの値は、Tが長くなるほど小さくなる。【○】H27
- 地盤が著しく軟弱な区域として指定する区域内において、標準せん断力係数C0を0.3として、地震力を算定した。【○】H27,22
- 建築物の地上部分の必要保有水平耐力を計算する場合、標準せん断力係数C0は1.0以上としなければならない。【○】H25
- 建築物の固有周期及び地盤の種別により地震力の値を変化させる振動特性係数Rtは、一般に、建築物の設計用一次固有周期Tが長いほど大きくなる。【☓】H25
- 地震層せん断力係数の建築物の高さ方向の分布を表す係数Aiは、一般に、建築物の上階になるほど大きくなり、建築物の設計用一次固有周期Tが長いほど大きくなる。【○】H25
- 建築物の地上部分における各層の地震層せん断力係数Ciは、最下層における値が最も小さくなる。【○】H25
- 地盤種別が第二種地盤で、建築物の設計用一次固有周期が0.6秒以上の場合は、一般に、高層になるほど地上部分の最下層の地震そうせん断力係数Ciは大きくなる。【☓】H22
2.地下部分
地下部分に作用する地震層せん断力は次の式で表されます。
Qbi=Q1+Σ(Wbi×kbi)
Qi:1階に作用する地震層せん断力
Σ(Wbi×kbi):地下i階に作用する地震力
Wbi:地下
kbi≧0.1(1-Hb/40)Z
Hb:地下i階の地盤面から深さ(m)
但し、深さが20mを超えるときはHb=20とします。
Z:地震地域係数(0.7〜1:国土交通大臣が定める地域の地震の特性を表す指標)
地下でも層せん断力である以上、地下何階かであるかが重要です。
実際の過去問(クリックすると開きます)
- 地下部分の地震層せん断力は、「地下部分の固定荷重と積載荷重との和に、当該部分の地盤面からの深さに応じた水平震度kを乗じて求めた地震力」と「地上部分から伝わる地震層せん断力」との和である。【○】H27,24
- 建築物の地下部分の各部分に作用する地震力は、一般に、当該部分の固定荷重と積載荷重との和に水平震度を乗じて計算する。【○】H25
- 地震力を算定する場合に用いる鉄骨造の建築物の設計用一次固有周期T(単位 秒)は、特別な調査又は研究の結果に基づかない場合、建築物の高さ(単位 m)に0.02を乗じて算出することができる【☓】H25,21
- 地震地域係数Zは、その地方における過去の地震の記録等に基づき、1.0から0.7までの範囲内において各地域ごとに定めたられている。【○】H25,21
- 多数の者が利用する自走式の駐車場において、誤操作により自動車の転落事故を防止するための装置などの構造は、250kNの衝撃力が作用した場合に、装置の部材の塑性変形等を考慮し、衝撃力を吸収できるようにする。【○】H24
- 鉄筋コンクリート造の保有水平耐力計算を行う場合の地上部分の地震力は、標準せん断力係数C0が「0.2以上の場合」と「1.0以上の場合」の2段階の検討をする。【○】H21
【構造】11.荷重・外力
荷重・外力は主に風や地震、自重などによって建物に負荷のかかる部分についての範囲です。
例年だと1〜2問程度の出題となっています。
目次
1.床の積載荷重
2.風
3.多雪区域
4.重量
1.床の積載荷重(R.1 H.30,29,27,24,22)
床の積載荷重について覚えることは4つ
①「床の構造計算をする場合」、「大梁・柱・基礎の構造計算をする場合」及び「地震力を計算する場合」の3種類があり、大小関係は『床 > 大梁・柱・基礎 > 地震力』である
②実況に応じて計算する場合は基準法で定められた値より大きくする必要がある。(床の構造計算をする時には柱や地震力の数値は使えない)
③倉庫は実況に応じて計算した場合でも3900N/㎡以下にすることはできない
④具体的な数値
(5以外は柱等が支える床の数に応じて積載荷重を低減できる)
実際の過去問(クリックすると開きます)
- 店舗の売り場に連絡する廊下の床の構造計算に用いる積載荷重は、建築物の実況に応じて計算しない場合、店舗の売り場の床の積載荷重を用いる事ができる。【☓】R1
- 単位面積当たりの積載荷重は、建築物の実況に応じて計算しない場合、「床の構造計算をする場合」、「大梁・柱・基礎の構造計算をする場合」及び「地震力を計算する場合」のうち、「地震力を計算する場合」が最も大きくなる。【☓】H30
- 学校の屋上広場の単位面積当たりの積載荷重は、実況に応じて計算しない場合、教室の単位面積当たりの積載荷重と同じ数値とすることができる。【☓】H29
- 教室に連絡する廊下や階段の床の積載荷重は、実況に応じて計算しない場合、教室の床の積載荷重と同じ値を用いることができる【☓】H.27
- 建築物の各部の積載荷重は、「床の構造計算をする場合」、「大梁・柱・基礎の構造計算をする場合」及び「地震力を計算する場合」において、それぞれ異なる値を用いることができる。【○】H27
- 単位面積あたりの積載荷重の大小関係は、実況に応じて計算しない場合、教室>店舗の売り場>住宅の居室である。【☓】H24
- 百貨店の屋上広場の単位面積あたりの積載荷重は、実況に応じて計算しない場合、百貨店の売り場の単位面積当たりの積載荷重と同じ数値とする事ができる。【○】H30,24
- 教室に連絡する廊下や階段の床の積載荷重は、実況に応じて計算しない場合、教室の床の積載荷重と同じ2,300N/㎡としなければならない。【☓】H22
- 倉庫業を営む倉庫の床の積載荷重は、実況に応じて計算した数値が3,900N/㎡未満の場合においても、3,900N/㎡としなければならない。【○】H22
2.風(R.1 H.29,28,26,24,23,21)
風に関しては風圧力自体についてと、風圧力を使った計算に関するルールの2ポイントに大別される。
①風圧力
風圧力Pは多くの変数で表される。
P=q×Cf(N/㎡)
q :速度圧 q=0.6EVo^2
E:速度圧の高さ方向の分布係数 E=Er^2×Gf
Er:平均風速の高さ方向の分布係数
Gf:ガスト影響係数
Cf:風力係数 Cf=Cpe-Cpi
Cpe:外圧係数(屋外から当該部分を垂直に押す方向が+)
Cpi:内圧係数(屋内から当該部分を垂直に押す方向が+)
実際の過去問(クリックすると開きます)
- 風圧力の算出に用いる速度圧qは、その地方について定められている基準風速V0の2乗に比例する。【○】R1 H28
- 基準風速V0は、稀に発生する暴風時の地上10mにおける10分間平均風速に相当する値である。【○】R1
- 風圧力は、一般に、「外装材に用いる場合」より「構造骨組みに用いる場合」のほうが大きい。【☓】R1
- 風圧力における平均風速の高さ方向の分布を表す係数Erは、建築物の高さが同じ場合、一般に、「都市計画区域外の極めて平坦で障害物がない区域」より「都市計画区域内の都市化が極めて著しい区域」のほうが小さい。 【○】H29
- ガスト影響係数Gfは、一般に、建築物の高さと軒の高さとの平均Hに比例して大きくなり、「都市化が極めて著しい区域」より「極めて平坦で障害物のない区域」のほうが大きくなる。【☓】R1 H26
- 閉鎖型の建築物における風力係数は、一般に、その建築物の外圧係数と内圧係数との差により算定する。【○】H24
- 風圧力における平均風速の高さ方向の分布を表す係数は、一般に「極めて平坦で障害物がない区域」より「都市化が極めて著しい区域」のほうが小さい。【○】H24
- 速度圧は、その地方における基準風速、地表面粗度区分及び建築物の高さと軒の高さとの平均Hに影響され、風力係数は建築物の形状に応じて定められている。【○】H23
- 風圧力を算出する場合の基準風速V0は、地方の区分に応じて規定されている。【○】H21
②風圧力の計算のルール
風圧力については屋根、窓、庇について出題されるので、それぞれについて暗記する。
屋根
・屋根葺き材の風圧に対する構造耐力の安全性を確かめる時に高さは関係しない。
・屋根葺き材に作用するピーク係数Cfは骨組みに作用するCfより大きい。(面が大きい
から)
・風圧力の計算はピーク風力係数を利用する。
・庇も建物全体の一部として考えるため、低い位置にある場合でもその高さだけを切
り取って計算することはできない。よって、庇も建物の高さと軒の高さの平均Hで風
圧力の計算をする。
実際の過去問(クリックすると開きます)
- 屋根葺き材の風圧に対する構造耐力上の安全性を確かめるための構造計算の基準は、建築物の高さに関わらず適用される。【○】R2
- 屋根葺き材に作用する風圧力の算出に用いる平均速度圧qについては、気流の乱れを表すガスト影響係数Gfは考慮しなくていい。【○】R2
- 屋根葺き材に作用する風圧力の算出に用いるピーク風力係数Cfは、一般に、構造骨組みに用いる風圧力を算出する場合の風力係数Cfよりも大きい。【○】R2
- 屋根葺き材に作用する風圧力の算出に用いる基準風速V0は、構造骨組みに用いる風圧力を算出する場合と異なる。【☓】R2
- 高さ13m以下の建築物において、屋根葺き材については、規定のピーク風力係数を用いて風力圧の計算をすることができる。【○】H26、24
- 高さ17mの窓ガラスの検討に用いる風圧力の計算においては、ピーク風力係数を考慮する【○】H23
- 高さ5mの庇の風圧力は、庇の高さ5mのみで検討し、建築物の高さと軒の高さとの平均Hに影響されない【☓】H23
- 屋根葺き材に作用する風圧力算定においては、ピーク風力係数を考慮する。【○】H23
3.多雪区域(R.1 H.30,29,27,26,21)
多雪区域は覚えることは
①多雪区域以外における積雪荷重の計算に用いる積雪の単位荷重は、積雪量1cm当たり20kN/㎡以上とする必要がある。
②雪下ろしを行う習慣のある地方では、垂直積雪量が1mを超える場合においても、垂直積雪量を1mまで低減して計算できる。
③下記の組合わせ荷重
G:固定荷重により生じる力、P:積載荷重により生じる力、K:地震力により生じる力
W:風圧力により生じる力、S:積雪荷重により生じる力
※Sが式に有るか、無いか。もしくはSが低減されるか、されないかがポイントになる。
実際の過去問(クリックすると開きます)
- 多雪区域以外の区域において、積雪荷重の計算に用いる積雪の単位荷重は、積雪量1cm当たり20N/㎡以上とする。【○】R1
- 多雪区域において、地震時に考慮すべき積雪荷重は、短期積雪荷重を低減したものを用いる。【○】H30
- 雪下ろしを行う慣習のある地方においては、その地方における垂直積雪量が1mを超える場合においても、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することができる。【○】H29
- 構造部材に生じる応力度等を計算するに当たり、多雪区域ではない一般の地域においては、暴風時又は地震時の荷重を、積雪荷重と組み合わせなくても良い。【○】H29
- 多雪区域において、暴風時に考慮すべき積雪荷重は、短期の積雪荷重を低減して用いることができる【○】H27.
- 多雪区域においては、暴風時又は地震時の荷重を、積雪荷重と組み合わせるひつようがある。【○】H26
- 多雪区域ではない地域において、暴風時又は地震時の荷重を、積雪荷重と組み合わせる必要はない【○】H21
- 多雪区域内において、長期積雪荷重は、短期積雪荷重の0.7倍の数値とする。【○】H21
4.重量(H.30,27,22)
重量については出題が少ないので、丸暗記する。
①普通コンクリートの単位体積重量は設計基準強度Fcで決まります。
設計基準強度 Fc≦36kN/m㎡ :23kN/㎥
設計基準強度 36N/m㎡<Fc≦48N/m㎡ :23.5kN/㎥
②鉄筋コンクリートの単位体積荷重には鉄筋による増量分として1kN/㎥を加えた値とする。
実際の過去問(クリックすると開きます)
【構造】13-1.木構造①
1.木構造について
木造については以下の6つの項目に分けて見ていきます。
・基礎
・柱
・軸組み(柱以外)
・耐力壁
・小屋裏
・構造計算
基礎
・凍結の恐れのない地域の布基礎の根入れ深さは24cm以上
・地盤面からベタ基礎の天馬までの立ち上がり部分の高さは、30cm以上
・既存の基礎を補強する際はあと施工アンカーを打ち込むことで、新たなRCの基礎と一体化し強度を確保します。
実際の過去問(クリックすると開きます)
柱
・隅柱は通常、通し柱とするが、管柱とする場合は通し柱と同等以上となるように補強する必要があります。
・やむを得ず柱を切り欠く場合は中央部を避け、さらに切り欠きが所要断面積の1/3超える場合には金物などを使い縁応力が伝達できるように補強する必要があります。
・柱の小径(柱の一辺[寸法が異なる場合は小さい方])は横架材間の垂直距離による場合は1/33〜1/28となるが、より安全に設計するため座屈を考慮して計算します。
実際の過去問(クリックすると開きます)
- 隅柱は、接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した管柱とした。【○】H26
- 構造耐力上主要な柱をやむを得ず柱の所要断面積の1/3を切り欠きしたので、切り欠きした部分における縁応力を伝達できるように金物等により補強した。【○】H25,22
- 構造耐力上主要な柱の小径は、横架材間の垂直距離によらず、座屈を考慮した構造計算によって決定した。【○】H25
- 隅柱を通し柱とせずに管柱をつないだ場合、その接合部は、通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した。【○】H23
軸組
軸組については
・構造的にOK
・構造的にNG
・部材寸法
の3つに分けて見ていく
構造的にOKな事
・軸組に方づえを設けると水平力に対して強くなります。(その分、柱に曲げモーメントがかかるため、柱が先に折れないか(先行破壊しないか)確認します。)
・構造計算により安全を確かめて火打を省略すること
構造的にNGな事
・1箇所の接合部で釘とボルトの耐力を加算すること
部材寸法
・筋かい
圧縮力を負担する筋かい:厚さ3.0cm以上、幅9.0cm以上
引張力を負担する筋かい:厚さ1.5cm以上、幅9.0cm以上
圧縮力に対しては座屈の危険性が有るため、強固な部材が求められます。
実際の過去問(クリックすると開きます)
- 引張力のみを負担する筋交いとしたので、暑さ1.5cm、幅9cmの木材を使用した。【○】H27
- 圧縮力と引張力の両方を負担する筋交いとして、暑さ3cm、幅9cmの木材を使用した。【○】H26
- 軸組に方づえを設けて水平力に抵抗させることとしたので、柱が先行破壊しないことを確認した。【○】H24
- 構造計算によって構造耐力上安全であることを確かめたので、床組及び小屋組みの隅角部の火打材を省略した。【○】H24
- 厚さ1.5cmで幅9cmの木材を、圧縮力を負担する筋かいとして使用した。【☓】H23
- 1か所の接合部に釘とボルトを併用したときの接合部の耐力は、それぞれの許容耐力を加算することができる。【☓】H22
耐力壁
構造計算は次の項目になるので、ここでは計算以外で覚えておく事項をまとめます。
耐力壁は配置や構成材によって良し悪しが決まります。
大切なのはバランスを取ること
・1F,2Fの耐力壁は上下で揃えるか市松状に配置するほうが良い(偏在させずバランスが取れていることが大事)
・耐力壁が偏在している場合は床の水平合成を高めてバランスをとる
・重心や剛心のズレも少なくする。
実際の過去問(クリックすると開きます)
- 1階の耐力壁と2階の耐力壁を、市松状に配置した。【○】H27,24
- 片面に同じボードを2枚重ねて釘打ちした耐力壁の倍率を、そのボードを1枚で用いたときの耐力壁の倍率の2倍とした。【☓】H26
- 1階の耐力壁が偏在していたので、2階床組の水平合成を高めた。【○】H25
- 耐震壁が偏った配置であり、重心と剛心が離れている場合、床の面内剛性が高い場合においては床面が剛心を中心に回転しやすく、床の内面剛性が低い場合においては床面が変形しやすい。【○】H22
小屋裏収納
地震力を算定する際に小屋裏収納の面積も加味する必要があり、その際には下記のような基準がある。
「2階の小屋裏に設ける小屋裏収納の水平投影面積が2階の床面積の1/6である場合、各階の地震力に対する必要壁量を算出する際の「階の床面積に加える面積」は、「当該小屋裏収納の法面高さの平均の値」を2.1で除した値に、「当該小屋裏収納の水平投影面積」を乗じた値とする。」
簡単に言い直すと、小屋裏収納の天井高さが2.1mを超えると必要壁量を増やす必要があり、また、それ以下の場合は地震の際のリスクが減る。そのため地震力に対する必要壁量を求める時には、「」内の基準で面積を増減させてから、計算をする必要がある。
実際の過去問(クリックすると開きます)
2.構造計算
木造の具体的な計算については別のページで解説します。
ここでは木造の特徴について解説します。
木造建築物の構造計算は地震の影響と、風による影響毎に必要壁量を求める必要があります。
①地震力に対する必要壁量
必要壁量=当該階の床面積×所要壁量
所要壁量は階数と屋根の重さによって決まります。
・床面積に規定の数値をかけるので張間、桁行どちらも同じ数値になります。
・屋根の重さはかるほうが有利
・階数は上に乗る階数が多いほど不利になります。(3階建てだと1階が最も厳しい)
②風圧力に対数必要壁量
必要壁量=見付面積×所要壁量
所要壁量は特定行政庁が特に風の強い地域とした区域で50<x≦75となり、それ以外の地域はx=50とシンプルになっています。
見付面積は求める際には床から1.35mの高さまでの面積は除外します。
・壁面の面積によるので張間、桁行で必要壁量は異なります。
実際の過去問(クリックすると開きます)
- 風による水平力に対して必要な耐力壁の量は、建築物の階数及び床面積に基づきて算定した。【☓】H27
- 平面が長方形の建築物において、地震力に対する必要な耐力壁の有効長さ(必要壁量)を張り間方向及びけた行方向について同じ値とした。【○】H26
- 1階の床下地材を、挽板から構造用合板に変更した。【☓】H25
- 屋根葺き材を、日本瓦から住宅屋根用化粧スレートに変更した。【○】H25
- 風圧力に対して必要な1階の耐力壁の有効長さ(必要壁量)は、2階の床面から上部の見付面積に所定の数値を乗じて得た数値以上となるように計画した。【☓】H25
- 風による水平力に対して必要な耐力壁の量を、建築物の階数、床面積及び屋根の重量により算定した。【☓】H24
- 風圧力に対して必要な耐力壁の有効長さ(必要壁量)を求める場合、同一区域に建つ「平屋建ての建築物」と「2階建ての建築物の2階部分」とでは、見付面積に乗ずる数値は異なる。【☓】H22