【構造】15-1.鉄骨構造(耐震計算)
鉄骨構造は鉄骨材を使った構造についての項目です。
例年は4問程度の出題となっています。
7つの項目に分けてみていきましょう。
・耐震計算
・材料
・柱
・梁
・筋かい
・接合部(ボルト、溶接)
・座屈
今回の記事では耐震計算についてみていきます。
鉄骨の構造計算では4つの計算のルート(基準)が定められています。
しっかりとそれぞれの対象と基準について覚えましょう。
ルート1-1
対象
・階数3以下、高さ13.00m以下、軒高9.00m以下、スパン6.00m以下、500㎡以内の建築物
基準
・標準せん断力係数 Co=0.3
・筋かい軸部・接合部を保有耐力接合とする。
ルート1-2
対象
・階数3以下、高さ13.00m以下、軒高9.00m以下、スパン12.00m以下、かつ平屋の場合3000㎡以内。2階建ての場合500㎡以内の建築物
基準
・地震時の水平震度係数 Co=0.3
・偏心率 Re≦0.15
・柱、梁の保有耐力接合。
・筋かい軸部・接合部を保有耐力接合とする。
・柱、梁が局部座屈しない。
・幅厚比の制限。
・梁の保有耐力横補剛の確保。
・柱脚部と基礎の接合部の十分な強度又は靭性の確保。
冷間角形鋼管柱を利用する場合
冷間角形鋼管柱を用いる場合は,地震力により柱に生じる外力の大きさを、以下の割増係数値以上を乗じて許容応力度の検討をします。
①柱梁接合部が内ダイアフラム形式の時の割増係数
・STKR材:1.3以上
・BCR材:1.2以上
・BCP材:1.1以上
② ①以外の柱梁接合部の時の割増係数
・STKR材:1.4以上
・BCR材:1.3以上
・BCP材:1.2以上
実際の過去問(クリックすると開きます)
ルート2
対象
・高さ31m以下、塔状比4以下
基準
・層間変形角 1/200以下
・偏心率 Re≦0.15以下
・剛性率 0.6以下
・筋かい応力の割り増しによる許容応力度設計。(詳細あり)
・筋かい軸部・接合部の保有耐力接合とする。
・柱・梁の幅厚比の制限。
・柱・梁仕口部の保有耐力接合。
・柱継手・梁継手の保有耐力接合。
・梁の保有耐力横補剛の確保。
・柱梁耐力比の確保。
・柱脚部と基礎の接合部の十分な強度又は靭性の確保。
筋かいの水平力分担率βによる応力割増し
・β≧5/7の場合 : 「地震時応力×1.5」
・β<5/7の場合 : 「地震時応力×(1−0.7β)」
冷間角形鋼管柱を利用する場合
①最上階の柱頭部及び1階の柱脚部を除くすべての接合部については、柱の曲げモーメントの和が、梁の曲げモーメントの和の1.5倍以上となるようにする必要があります。
②1階のSTKR材の場合は
・水平力を負担する筋かいのある階の地震時応答の割増。
・地震力により柱脚部に生じる外力の大きさに割増係数値以上を乗じて許容応力度の検討をします。
Ⅰ.柱梁接合部が内ダイアフラム形式の時の割増係数 : 1.3以上
Ⅱ.Ⅰ以外の柱梁接合部の時の割増係数 : 1.4以上
実際の過去問(クリックすると開きます)
ルート3
対象
・規模の制限なし
基準
・保有水平耐力(Qu)が必要保有水平耐力(Qun)以上であることの確認
Qu≧Qun
Qun=Ds×Fes×Qud
Qun:各階の必要保有水平耐力
Ds :各階の構造特性係数
Fes :各階の形状特性を表す指標
Qud:地震力により各階に生じる水平力
・Ds:構造特性係数
構造特性係数を計算するには4つの行程があります。
①筋かいの種別を有効細長比λからBA、BB、BCのいずれかに定めます。BAなどは部材の靭性の大きさにより分類されています。
筋かいの種別の特徴は
・大小関係:BA>BB>BC
・有効細長比λ=lk/i ik:座屈長さ i:断面二次半径
・有効細長比λの上限値は鋼材の基準強度Fが小さいほど大きくなります。
②柱及び梁の種別を幅厚比又は経厚比から部材毎にFA〜FDのいずれかに定めます。FAなどは部材の靭性の大きさにより分類されています。
柱及び梁の種別の特徴は
・大小関係:FA>FB>FC>FD
・幅厚比又は経厚比の上限値は鋼材の基準強度Fが小さいほど大きくなります。
③ ①②で求めた種別をもとに、柱梁及び筋かいの部材群としての種別を、部材の耐力からA〜Dのいずれかに定めます・
④ ③の部材群の種別から構造特性係数Dsを定めます。
求める際には基準を示した表から導きますが、試験には出ないので割愛します。構造特性係数Dsは0.25〜0.50の範囲で定まることは覚えましょう。
冷間角形鋼管柱を利用する場合
①STKR材
・最上階の柱頭部及び1階の柱脚部を除くすべての接合部については、柱の曲げモーメントの和が、梁の曲げモーメントの和の1.5倍以上となるようにする必要があります。
・地震力により柱脚部に生じる外力の大きさに割増係数値以上を乗じて許容応力度の検討をします。
Ⅰ.柱梁接合部が内ダイアフラム形式の時の割増係数 : 1.3以上
Ⅱ.Ⅰ以外の柱梁接合部の時の割増係数 : 1.4以上
・局部崩壊メカニズムとなった場合は、当該柱の耐力を柱梁の接合部形式及び鋼管の種類に応じた係数により低減した塑性ヒンジの耐力を保有水平耐力とした上で、必要保有水平耐力以上となることを確認します。