わかりやすい一級建築士学科試験

過去問を中心にして、わかりやすく試験の項目を整理しています。

【構造】13-1.木構造①

1.木構造について

木造については以下の6つの項目に分けて見ていきます。

・基礎

・柱

・軸組み(柱以外)

・耐力壁

・小屋裏

・構造計算

 

基礎

・凍結の恐れのない地域の布基礎の根入れ深さは24cm以上

・地盤面からベタ基礎の天馬までの立ち上がり部分の高さは、30cm以上

・既存の基礎を補強する際はあと施工アンカーを打ち込むことで、新たなRCの基礎と一体化し強度を確保します。

実際の過去問(クリックすると開きます)
  • 既存の無筋コンクリート造の布基礎に接着系のあと施工アンカーによる差し筋を行い、新たに鉄筋コンクリート造の布基礎を抱き合わせた。【○】H25
  • 凍結のおそれのない地域であったので、布基礎の根入れ深さを、24cmとした。【○】H23
  • べた基礎の立ち上がり部分の高さを、地上部分で40cmとした。【○】H23

 

・隅柱は通常、通し柱とするが、管柱とする場合は通し柱と同等以上となるように補強する必要があります。

・やむを得ず柱を切り欠く場合は中央部を避け、さらに切り欠きが所要断面積の1/3超える場合には金物などを使い縁応力が伝達できるように補強する必要があります。

・柱の小径(柱の一辺[寸法が異なる場合は小さい方])は横架材間の垂直距離による場合は1/33〜1/28となるが、より安全に設計するため座屈を考慮して計算します。

実際の過去問(クリックすると開きます)
  • 隅柱は、接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した管柱とした。【○】H26
  • 構造耐力上主要な柱をやむを得ず柱の所要断面積の1/3を切り欠きしたので、切り欠きした部分における縁応力を伝達できるように金物等により補強した。【○】H25,22
  • 構造耐力上主要な柱の小径は、横架材間の垂直距離によらず、座屈を考慮した構造計算によって決定した。【○】H25
  • 隅柱を通し柱とせずに管柱をつないだ場合、その接合部は、通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した。【○】H23

 

軸組

軸組については

・構造的にOK

・構造的にNG

・部材寸法

の3つに分けて見ていく

 

構造的にOKな事

・軸組に方づえを設けると水平力に対して強くなります。(その分、柱に曲げモーメントがかかるため、柱が先に折れないか(先行破壊しないか)確認します。)

・構造計算により安全を確かめて火打を省略すること

 

構造的にNGな事

・1箇所の接合部で釘とボルトの耐力を加算すること

 

部材寸法

・筋かい

圧縮力を負担する筋かい:厚さ3.0cm以上、幅9.0cm以上

引張力を負担する筋かい:厚さ1.5cm以上、幅9.0cm以上

圧縮力に対しては座屈の危険性が有るため、強固な部材が求められます。

 

実際の過去問(クリックすると開きます)
  • 引張力のみを負担する筋交いとしたので、暑さ1.5cm、幅9cmの木材を使用した。【○】H27
  • 圧縮力と引張力の両方を負担する筋交いとして、暑さ3cm、幅9cmの木材を使用した。【○】H26
  • 軸組に方づえを設けて水平力に抵抗させることとしたので、柱が先行破壊しないことを確認した。【○】H24
  • 構造計算によって構造耐力上安全であることを確かめたので、床組及び小屋組みの隅角部の火打材を省略した。【○】H24
  • 厚さ1.5cmで幅9cmの木材を、圧縮力を負担する筋かいとして使用した。【☓】H23
  • 1か所の接合部に釘とボルトを併用したときの接合部の耐力は、それぞれの許容耐力を加算することができる。【☓】H22

 

耐力壁

構造計算は次の項目になるので、ここでは計算以外で覚えておく事項をまとめます。

耐力壁は配置や構成材によって良し悪しが決まります。

大切なのはバランスを取ること

・1F,2Fの耐力壁は上下で揃えるか市松状に配置するほうが良い(偏在させずバランスが取れていることが大事)

・耐力壁が偏在している場合は床の水平合成を高めてバランスをとる

・重心や剛心のズレも少なくする。

 

実際の過去問(クリックすると開きます)
  • 1階の耐力壁と2階の耐力壁を、市松状に配置した。【○】H27,24
  • 片面に同じボードを2枚重ねて釘打ちした耐力壁の倍率を、そのボードを1枚で用いたときの耐力壁の倍率の2倍とした。【☓】H26
  • 1階の耐力壁が偏在していたので、2階床組の水平合成を高めた。【○】H25
  • 耐震壁が偏った配置であり、重心と剛心が離れている場合、床の面内剛性が高い場合においては床面が剛心を中心に回転しやすく、床の内面剛性が低い場合においては床面が変形しやすい。【○】H22 

 

小屋裏収納

地震力を算定する際に小屋裏収納の面積も加味する必要があり、その際には下記のような基準がある。

「2階の小屋裏に設ける小屋裏収納の水平投影面積が2階の床面積の1/6である場合、各階の地震力に対する必要壁量を算出する際の「階の床面積に加える面積」は、「当該小屋裏収納の法面高さの平均の値」を2.1で除した値に、「当該小屋裏収納の水平投影面積」を乗じた値とする。」

 

簡単に言い直すと、小屋裏収納の天井高さが2.1mを超えると必要壁量を増やす必要があり、また、それ以下の場合は地震の際のリスクが減る。そのため地震力に対する必要壁量を求める時には、「」内の基準で面積を増減させてから、計算をする必要がある。

実際の過去問(クリックすると開きます)
  • 2階の床面積が120㎡の建築物において、2階の小屋裏に水平投影面積が20㎡、内法高さの平均が2.1mの小屋裏収納を設ける場合、地震力に対する2階の床面積に当該小屋裏収納分の20㎡を加えて算出した。【○】H25
  • 2階の小屋裏に設ける小屋裏収納の水平投影面積が2階の床面積の1/6である場合、各階の地震力に対する必要壁量を算出する際の「階の床面積に加える面積」は、「当該小屋裏収納の法面高さの平均の値」を2.1で除した値に、「当該小屋裏収納の水平投影面積」を乗じた値とする。【○】H22

      

2.構造計算

木造の具体的な計算については別のページで解説します。

ここでは木造の特徴について解説します。

 

木造建築物の構造計算は地震の影響と、風による影響毎に必要壁量を求める必要があります。

地震力に対する必要壁量

必要壁量=当該階の床面積×所要壁量

所要壁量は階数と屋根の重さによって決まります。

・床面積に規定の数値をかけるので張間、桁行どちらも同じ数値になります。

・屋根の重さはかるほうが有利

・階数は上に乗る階数が多いほど不利になります。(3階建てだと1階が最も厳しい)

 

②風圧力に対数必要壁量

必要壁量=見付面積×所要壁量

所要壁量は特定行政庁が特に風の強い地域とした区域で50<x≦75となり、それ以外の地域はx=50とシンプルになっています。

見付面積は求める際には床から1.35mの高さまでの面積は除外します。

・壁面の面積によるので張間、桁行で必要壁量は異なります。

 

実際の過去問(クリックすると開きます)
  • 風による水平力に対して必要な耐力壁の量は、建築物の階数及び床面積に基づきて算定した。【☓】H27
  • 平面が長方形の建築物において、地震力に対する必要な耐力壁の有効長さ(必要壁量)を張り間方向及びけた行方向について同じ値とした。【○】H26
  • 1階の床下地材を、挽板から構造用合板に変更した。【☓】H25
  • 屋根葺き材を、日本瓦から住宅屋根用化粧スレートに変更した。【○】H25
  • 風圧力に対して必要な1階の耐力壁の有効長さ(必要壁量)は、2階の床面から上部の見付面積に所定の数値を乗じて得た数値以上となるように計画した。【☓】H25
  • 風による水平力に対して必要な耐力壁の量を、建築物の階数、床面積及び屋根の重量により算定した。【☓】H24
  • 風圧力に対して必要な耐力壁の有効長さ(必要壁量)を求める場合、同一区域に建つ「平屋建ての建築物」と「2階建ての建築物の2階部分」とでは、見付面積に乗ずる数値は異なる。【☓】H22