わかりやすい一級建築士学科試験

過去問を中心にして、わかりやすく試験の項目を整理しています。

【構造】12.地震力

地震力はその名の通り、建物に作用する地震力についての項目です。

 

例年だと1〜2問程度の出題となっています。

 

目次

1.地上部分

2.地下部分

 

1.地上部分

地震が建物に与える力を地震層せん断力を用いて計算します。

地震層せん断力とは「地震(によって、各)層(に働く)せん断力」のことです。

 

地上部の地震層せん断力は下記の式で求められます。

Qi=Ci×Wi

 Qi:i層に作用する地震層せん断力

 Ci:i層の地震層せん断力係数

 Wi:i層から上部の建物総重量(固定荷重と地震用積載荷重の和)

 

地震「層」せん断力なので必ずどの層(何階)に働くかが重要になります。

 

さらにCiの求め方を見ていきます。

Ci=Z×Rt×Ai×Co

 Z:地震地域特性係数(0.7〜1:国土交通大臣が定める地域の地震の特性を表す指標)

 Rt:振動特性係数(地盤の種類と建物の固有周期で表す建物の振動特性の係数)

 Ai:地震層せん断力分布係数(高さ方向の分布を示す係数、高いほど大きい)

 C0:標準せん断力係数(設計時の条件によって定まった数をとる)

 

上記の4つの内、Rt、C0以外は()内の簡単なポイントを押さえれば大丈夫

 

Rtについて

 Rtは地盤の種類と建物の固有周期Tで決まり、Tが長いほどRtは小さくなる

 地盤の種類は3種類

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建物の固有周期Tは高さhによって表されます。

 鉄筋コンクリート造:T=0.02h

       鉄骨造:T=0.03h

 

C0は3つのみ覚えれば良い

 ・一次設計用 C0≧0.2

 ・一次設計用(地盤が著しく軟弱な区域内における木造建築物) C0≧0.3

 ・保有水平耐力用 C0≧1.0

実際の過去問(クリックすると開きます)
  • 建築物の固有周期が長い場合や地震地域係数Zが小さい場合には、地震層せん断力係数Ciは、標準せん断力係数C0より小さくなる場合がある。【○】H26,21
  • 沖積層の深さが35mの軟弱な第三種地盤の地盤周期Tcは0.2秒以下である。【☓】H21
  • 建築物の地上部分における角層の地震層せん断力係数Ciは、最下層における値が最も大きくなる。【☓】H27
  • 建築物の設計用一次固有周期Tが長い場合、第一種地盤より第三種地盤のほうが建築物の地上部分に作用する地震力は大きくなる。【○】H27,24
  • 第一種地盤で、建築物の設計用一時固有周期Tga長い場合、振動特性係数Rtの値は、Tが長くなるほど小さくなる。【○】H27
  • 地盤が著しく軟弱な区域として指定する区域内において、標準せん断力係数C0を0.3として、地震力を算定した。【○】H27,22
  • 建築物の地上部分の必要保有水平耐力を計算する場合、標準せん断力係数C0は1.0以上としなければならない。【○】H25
  • 建築物の固有周期及び地盤の種別により地震力の値を変化させる振動特性係数Rtは、一般に、建築物の設計用一次固有周期Tが長いほど大きくなる。【☓】H25
  • 地震層せん断力係数の建築物の高さ方向の分布を表す係数Aiは、一般に、建築物の上階になるほど大きくなり、建築物の設計用一次固有周期Tが長いほど大きくなる。【○】H25
  • 建築物の地上部分における各層の地震層せん断力係数Ciは、最下層における値が最も小さくなる。【○】H25
  • 地盤種別が第二種地盤で、建築物の設計用一次固有周期が0.6秒以上の場合は、一般に、高層になるほど地上部分の最下層の地震そうせん断力係数Ciは大きくなる。【☓】H22

 

2.地下部分

 

地下部分に作用する地震層せん断力は次の式で表されます。

Qbi=Q1+Σ(Wbi×kbi)

 Qi:1階に作用する地震層せん断力

 Σ(Wbi×kbi):地下i階に作用する地震

 Wbi:地下

 

kbi≧0.1(1-Hb/40)Z

 Hb:地下i階の地盤面から深さ(m)

   但し、深さが20mを超えるときはHb=20とします。

 Z:地震地域係数(0.7〜1:国土交通大臣が定める地域の地震の特性を表す指標)

 

地下でも層せん断力である以上、地下何階かであるかが重要です。

実際の過去問(クリックすると開きます)
  • 地下部分の地震層せん断力は、「地下部分の固定荷重と積載荷重との和に、当該部分の地盤面からの深さに応じた水平震度kを乗じて求めた地震力」と「地上部分から伝わる地震層せん断力」との和である。【○】H27,24
  • 建築物の地下部分の各部分に作用する地震力は、一般に、当該部分の固定荷重と積載荷重との和に水平震度を乗じて計算する。【○】H25
  • 地震力を算定する場合に用いる鉄骨造の建築物の設計用一次固有周期T(単位 秒)は、特別な調査又は研究の結果に基づかない場合、建築物の高さ(単位 m)に0.02を乗じて算出することができる【☓】H25,21
  • 地震地域係数Zは、その地方における過去の地震の記録等に基づき、1.0から0.7までの範囲内において各地域ごとに定めたられている。【○】H25,21
  • 多数の者が利用する自走式の駐車場において、誤操作により自動車の転落事故を防止するための装置などの構造は、250kNの衝撃力が作用した場合に、装置の部材の塑性変形等を考慮し、衝撃力を吸収できるようにする。【○】H24
  • 鉄筋コンクリート造の保有水平耐力計算を行う場合の地上部分の地震力は、標準せん断力係数C0が「0.2以上の場合」と「1.0以上の場合」の2段階の検討をする。【○】H21